馬車道界隈 横浜の近代建築

文明開化の昔、「外人を運ぶ馬車が往来した道」だったから馬車道。

日本で初めてガス灯が点り、アイスクリームが販売された場所としても有名です。

日本の最先端を行く商店街として賑わった馬車道もいまはどちらかといえばビジネス街になっています。

古くから栄えた界隈であることから比較的近代建築も残っていますが、火災や震災によって明治期の建築物はすべて姿を消しました。

馬車道では何と言っても神奈川県立博物館が有名ですが、その斜め前に建つ大津ビルもシンプルながらいい雰囲気を漂わせています。


旧横浜正金銀行(神奈川県立博物館) 【重要文化財】

中区南仲通5-6 設計:妻木頼黄、遠藤於菟 竣工:昭和11年

 

横浜指路教会 馬車道大津ビル
竣工:大正末期

竣工:昭和11年

 

中区尾上町6-85

 

中区南仲通4-43

 

日本火災横浜ビル 一部保存 旧富士銀行横浜支店
設計:矢部又吉

竣工:大正7年

竣工:昭和4年

中区弁天通5-70

 

中区本町4-44

 


洋風建築が立ち並ぶ街角には決まってガス灯風の街灯。

このような取って付けたような光景を見るたび、「近代洋風建築はまだ『日本文化』に吸収されてないな」と少し淋しくな ります。

文明開化の昔をそのまま再現するため、との理由なら乱立する交通標識や店の看板も何とか考えるべきでしょうし、

なによりも、洋風建築に往時のムードを漂わす(とは思わないが)ガス灯というワンパターンの風景が、いまの日本の街角に合うとは思え ません。

百年近く経って日本の街に馴染んだ洋風建築、いまの日本人の感覚で町作りを行う方がしっくり来るのではないでしょうか。

近代の洋風建築はもはや、単なる西洋建築の模倣として存在するのではありません。

西洋の建築技術や美的感覚をベースに、日本の風土に合わせて作られた、日本文化の一つの「かたち」なのです

(中国の寺院を模倣しながらも日本の風土と文化に合わせて建てられ、日本に馴染んだ寺院のように)。

洋館にガス灯に石畳、というワンパターンの「三点セット」なら本場のヨーロッパで見ればいい こと。

日本の洋館には日本の洋館に合った周囲の環境というものがあると思うのですが・・・・・。


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