三信ビルのクリスマス   東京の近代建築  三信ビル  造形礼賛トップページ  





東京の近代建築でいちばん好きだった建物「日比谷三信ビル」。
過去形で書かないといけないのが本当に悲しいのですが、
保存を求める声も空しく、2007年春に解体されました。

まもなく地上35階建ての超近代的なビルに生まれ変わります。
日比谷という一等地、企業である以上は利益の追求が最も重要なことですが、
個人的な気持ちとしては、これだけの名建築を何とか保存してほしかったですね。




クリスマスの季節を迎えると、
エレベータホールに飾られたクリスマスツリー。
戦前からの歴史を刻んできたビルの雰囲気にぴったり合う昔ながらのツリーは、
「三信ビル」という世界に一つだけの建物を静かに輝かせていました。








エレベータホール前のクリスマスツリー









誰もいない時でも静かに光り続けます。








2階部分のほんのちょっとした飾り。「電球」が温かい。








喫茶店の老舗「ニューワールドサービス」。いま、この雰囲気を出せるビルのテナントってあるかな。





入り口のイルミネーションもきわめて簡素でレトロ。あくまでも控えめに、でも華やかに。





二度と戻らない風景と時間を写真に刻んで・・・・・・。
ビルという無機質な存在にもかかわらず、限りない温かさを感じさせてくれた三信ビルの空気感は二度と戻ってきませんが、
新しいビルが、せめてどこにでもあるようなビルではなく、独自の光と輝きに溢れた建物であることを心から願っています。

<後記>
三信ビルは2018年、最先端の商業複合ビル「東京ミッドタウン日比谷」に生まれ変わりました。
外観も内部もあまり印象に残っていないですが、いわゆる洗練されたテナントが入居しているようです。
このビルに限らず、大型ビルの完成時にはマスメディアがこぞって「最新の個性的な商業ビル!」と放映しますが、
自分にとっては六本木や渋谷方面のビルも含め、最近の商業ビルはどこもコンセプトに大きな違いはないような気がします。
もう個性は必要のない時代になったのかなぁ。有名な、そして最新のブランドと一見注目を浴びそうなお店だけが入っていれば良い?




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