杉本家住宅
杉本氏庭園 ―茶室と露地― 






【所在地】 下京区地域】 三条・四条の坪庭 【庭の形態】 坪庭・露地 【面積】 小規模
【作庭者】 不明 【作庭時期】 明治3年(1870年) 【所有者】 杉本家 【訪問日】 2025年5月
【雨天】 特に影響なし 【公開形態】 期間限定 【撮影】 スマホのみOK








杉本家住宅の茶室。
さすが京都の町家にふさわしい洗練された、簡素な茶室なのですが、他の茶室は大きく異なる点が。




説明にも書かれているとおり、当初から存在した部屋と廊下を「改造」して作られました。





この部屋の外には、手水鉢が置かれて塵穴も作られているのですが、
他の茶室でおなじみの躙口(にじりぐち)や貴人口はありません
(露地から茶室へは八畳の縁側を通って入る仕組みになっています)。

 杉本家住宅のホームページから引用








八畳の間から観る露地。苔も新緑も美しく、簡素な中にもこだわりを感じられて、ぼ~っと眺めていても飽きません。









他の京都の露地にも共通するのですが、実際の広さ以上に奥行きと広がりを感じます。





写真では良く分からないのですが、八畳の間から露地を観ると、手前の石燈籠を含めて3基の石燈籠が視界に。
狭い空間に多くの石燈籠を置くと少し雑然としたな印象を受ける場合もあるのですが、
こちらの庭では全くそのような感じはなく、見事に洗練された露地になっています。








ちょっとした石燈籠や飛び石の配置が絶妙で、さすが「名勝」に指定されるだけあるなぁと再認識しました。








八畳の間はご夫婦の居室として作られたようです。





茶室から八畳の間と玄関前、通り沿いの格子の間までのすっきりとした部屋の配置





格子の間の横には洋間も作られています。他の豪商の町家もそうですが、
京都では基本となる和風の居室とは全く雰囲気の違う洋間を設えるケースが多いようです。
南禅寺水路閣のページにも書きましたが、
都市レベルでの洋風化の波が日本で真っ先に押し寄せたことも、影響しているかもしれません。
明治初期に京都御所の横にキリスト教主義の学校(同志社平安女学院)の煉瓦の校舎が建てられ、
コーヒーやパンの人口当たりの消費量は日本の都道府県で首位。
旧来の伝統に固執して異文化を拒否するのではなく、
良い文化は受け入れていこうという気風は地方では意外に知られていない「京都らしさ」かもしれません。






杉本家の座敷と仏間



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