現・西陣産業創造会館 西陣の庭園 ― 地図 設計:岩元禄 施工:安藤組 竣工:大正11年(1922年) 重要文化財(2006年指定)
28歳で急逝した天才建築家、岩元禄(いわもと・ろく)の唯一の遺作――。
それだけでも特筆に値するのに、
なんとこの「モダン」な建物が大正時代に建てられたというのだから驚きです(近年補修はされましたが)。
昭和、平成に竣工したと言われてもわからないこの斬新な建造物が、
京都の伝統が綿々と息づいている西陣に建てられた事実。
余りにも早く時代を駆け抜けた設計者の岩元禄、この建物を受け入れた市民の先進性に尊敬の念すら感じます。
当時としては珍しい出窓、裸婦のレリーフ、抽象的なデザインが目を惹きます。
現代建築なら特に目立つ意匠ではないのかもしれませんが、
約100年前にこの建築が誕生したことはやはりすごいですね。
天才建築家の唯一の遺作として、重要文化財に指定されたことはたいへん喜ばしいことなのですが、残念なのは「電線」。
西本願寺の伝道院もそうですが、道から名建築を見上げても、いくつもの電線が視界を遮り、せっかくの美しさが半減――。
電線は日々の生活に不可欠な文字通りライフライン、
極めて重要な存在ですが、せめて文化財の周囲だけは埋設するなどの対策が取られたら、と思います。
西陣の庭園
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