旧山口玄洞邸(ドミニコ修道会聖トマス学院 )



京都の近代建築 京都御所界隈 京都市上京区 MAP 設計:武田五一 




生まれ育ったの近くをふらふら歩いていると、
石塀に立派な和風の門に遭遇しました。
公家屋敷の跡地かなと思って、門標を見ると意外なことに「聖トマス学院」。
おぉ。京都得意の和洋折衷? と嬉しくなりました。
門を入ると、立派な車寄せを持つ洋館。
ここが武田五一設計の名建築、戦前の実業家で篤志家でもあった旧山口玄洞邸です。







見事な弧を描く玄関のポーチ。石と歴史の重みがずっしり伝わってきます。





低層階の本屋にこれだけ大きな玄関のポーチは珍しい構成ですね。









玄関の天井と扉、床のタイル。大正モダンの美しき名残です。





玄関の反対側、東側正面。緑枠のドアと上部ステンドグラスが限りなく魅惑的





さらにこの建物を魅惑的にしているのは、周囲の風景。
広い敷地に石灯籠などが点在しています。かつては山口玄洞邸の日本庭園だったのでしょうか。
石燈籠や残された石はどれも選び抜かれて庭園に配されていた感じもするので、
著名な実業家の邸宅の庭として、当初の姿を復元してほしいという気持ちもあります。





石塀の向こうは鴨川。この不思議な雰囲気、何とも言えず。街中で夢の中にいるような。
いまここは「キリスト教中世思想研究所」として使われているようですが、
深い思索をする上で最適な環境とも言えそうです。





それにしても京都。
地図を見ると、東京などと比べものにならないほど小さな街なのに、
一個一個の建物には外からうかがい知れない「広い世界」が。
箱庭都市の中に息づく宇宙を垣間見た気がしました。







かつての近所にありながら、全く知らなかった小宇宙的な空間。
立派な門を出ると、歩いて1分ほどで「日常」の河原町通りです。
ちなみにここに邸宅を建てた山口玄洞氏。
詳しい説明がこちらのページに載っていました。素晴らしい篤志家だったようです。





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