長楽館 ―煙草王の迎賓館―    

祇園・建仁寺界隈の庭園
 カフェ、茶寮の庭  地図  J.M.ガーディナーの建築  長楽館の露地  Yuky Rさんのページ 





円山公園に戦前の大実業家、村井吉兵衛が明治42年(1909年)に京都の別邸として建てた長楽館。
内外からの賓客を迎えてきた京都の「迎賓館」として有名ですが、内部の豪華さはまさにその名の通り。
京都だけでなく、日本国内でもここまで贅を尽くした洋風建築は貴重な存在です。








イオニア式の柱が印象的なファサード。
設計は、平安女学院の聖アグネス教会などを設計した米国聖公会の宣教師、J.M.ガーディナー









エントランスのペディメントには、村井家の家紋「三柏」の意匠を中心とした装飾。
木の色に合わせて、色彩を抑えたステンドグラスも美しいですね。










圧巻の美しさで迫るロビー。
木を基調として大理石の柱、赤い絨毯、芸術品の彫像や照明がつくり出す華やかで重厚な雰囲気は
まさに京都の「迎賓館」にふさわしいたたずまいです。













階段の手すりの装飾一つ一つも緻密な意匠に。妥協を許さなかった村井吉兵衛の心意気を感じます。






こちらは和風の茶室「長楽庵」など、他の館内の雰囲気とは一転して和の世界に。
内部は非公開で見学できないですが、テレビで観たときは書院の窓にステンドグラスが使われるなど、
美しき和洋折衷の世界だったような記憶があります。



















館内の各部屋はどこも「華麗」という言葉以外では表せないような豪華な装飾。
調度、内装などに関してはあまり詳しくはないので、長楽館の公式ページを参照してください。
でも何の基礎知識がなくても、ただただこの華麗な美しさにはため息の連続――。
開国から半世紀も経っていない時代、
京都にこのような完璧な美しさを誇る洋館を作り上げた村井吉兵衛の財力と美的な感覚には驚きです。






現在の感覚では、煙草で財を成したことで、これほどの贅を尽くした建築物が作れることにも驚きです
(村井吉兵衛は煙草事業を足掛かりに製糸業、金融業にも手を広げています。経歴は公式サイトを参照してください)。






「長楽館」の名称は、伊藤博文が「長く楽しみが続くように」との思いを込めて名付けたそうです
(扁額の文字は伊藤の筆跡)。




※長楽館の写真はすべてYuky Rさんの撮影です。





長楽館の見どころはなんと言っても内部ですが、車寄せにはちょっとした露地もつくられています → 長楽館の露地 






村井吉兵衛が財閥をつくる時の基礎となった馬町通の村井商会たばこ工場は既に解体され、現存していません。
大実業家の成功の基になった貴重な産業遺跡は残しておいてほしかった・・・。


   
         
         
 
 村井商会たばこ工場  現存せず     cafe kawataro   村井吉兵衛旧宅  
         
         
 
 J.M.ガーディナーの建築        料亭左阿彌   円山公園  
         




Copyright (C)  Yuky R. All rights reserved for the photographs of this website.