修学院離宮参観記    

 

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修学院離宮の参観方式はほぼ桂離宮と同じで、参観受付は20分前から。
参観順路は下離宮中離宮上離宮の順となります。
所要時間は約90分で、歩行距離は約3キロ。
途中に少し急な階段などもあるため、なるべく歩きやすい服装や靴で参加される方が楽かと思います。
夏は暑さと水分補給にも注意を!



ガイドの方はとても丁寧で、親切。
参加者個人の質問にも的確に答えてくれますし、
皇宮警察の方も、写真撮影などで少々一行から遅れる参加者がいても、
「早く行きなさい!」などのお叱りは一切なく、極めて鷹揚な対応。
ただ余りにも自己本位な行動は他の方の迷惑にもなりますし、大人としての分別は最低限必要かと
(いつ行っても、他人に配慮せず我先に写真を撮ったりする中年以上のグループがいてがっかり)。

修学院離宮の参観で敢えて難点を言えば、
中離宮下離宮の庭園をゆっくり見学できないことでしょうか。
見学の範囲が広く、どうしても建物の説明が中心となるため、
仕方がないとは思いますが、両離宮の周辺にある庭はほぼ「素通り」。
庭園が最大の目的だった自分にとっては、もう少し庭園を鑑賞する時間が欲しかったです
(ただ最大の目玉である上離宮の浴龍池はゆっくりと堪能できます)。


→2023年6月に訪れた時は、下離宮の庭について少し詳しい説明がありました。
これまでよりも少し鑑賞できる時間も長くなった感じで、「遣り水の庭」という名称も初めて訊きました。



あと修学院離宮の印象を大きく左右する重要な要素は「天候」。
これまで訪れた時期は冬枯れの季節や曇天の日だったのですが、
23年6月の参観日は梅雨の晴れ間の初めての快晴!
新緑が文字通り輝いて、「こんなに美しかったんだ」「冬枯れの季節とここまで違うのか」と
大きく印象が変わる参観でした(下の左写真は新緑の晴天、右写真は冬季の曇天)。

  

他の池泉庭園でも、晴天の訪問が最適と思いますが、
雄大な自然に包まれた修学院離宮こそは、絶対的に冬季以外の晴天に訪れるべきと痛感しました
(できれば上離宮からの眺望が逆光にならない午前中がお勧めです)。
ただ予め参観日時が決められているので、天候は「時の運」でもありますね。



ところで修学院離宮。地方の大名庭園よりはるかに上品で美しく、これだけの見どころがあるにもかかわらず、無料。
基本的に宮内庁管轄の庭園は桂離宮を除いて無料ですが(桂離宮は人数制限のため敢えて有料化したそう)、
今後のあり方を考慮すると、有料化を検討しても良いのではと思います。
数千円を徴収してもおかしくないレベルの庭園を無料で見学できるのはうれしい限りですが、
広大な施設だけに植栽の管理や建物の保守、巡回などの人件費など膨大な維持費が必要なはず。
桂離宮とともに日本庭園の最高峰であるこの造形を後世にそのまま伝えるためなら、有料化も賛成です。




     
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建物、庭園の解説などについては、「財団法人 伝統文化保存協会」刊行の「修学院離宮」を参照させて頂きました。