ウェスティン都ホテル「葵殿庭園」


佳水園
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京都を代表する名門ホテル、都ホテルの庭園「葵殿(あおいでん)庭園」。
本来の地形を活かして名石を配し、
ダイナミックな滝の流れをつくり出した七代目小川治兵衛(植治)最晩年の傑作です。







訪れたのは初冬。紅葉が盛りを終え、庭一面が敷紅葉で覆われてまさに絵画のような美しさに。





近代的な建物の頑丈な柱にも負けない存在感を示す葵殿の庭園








この庭の圧巻は滝石組に使われた名石。琵琶湖から運ばれた縞模様の比良石(守山石)が目を惹きます。
名石の産地である京都産の石を使わず、なぜ植治は敢えて近江の石を使ったのか――。
そのこだわりに感銘を受けました。









石段を埋め尽くす敷紅葉。立体的な植治の庭がさらに美しく映える季節ですね
(現在、石段などの区域は通行禁止になっています)。









細部まで考えられた配石や石組みと、それらの上に降り積もる紅葉





池の水面にも無数の紅葉が浮かび、幻想的な庭に





270人を収容できる葵殿の室内から観る庭園





庭園反対側の窓からは京都市内が一望できます。








正面に見える三重塔は黒谷さん(金戒光明寺)。
ここから市内を眺めると、京都が山に囲まれた都であることを実感できます。






窓の上には京都三大祭(葵祭、祇園祭、時代祭)が描かれたステンドグラス。
窓の両側の眺望だけでなく、室内の装飾も上品で、都ホテルに相応しい雰囲気になっています。










本来の見学コースは5階の入り口から(少し分かりにくいですが、ホテルの方に訊けば親切に教えてくださいます)。





個性的な石を散りばめたセンスある延段と古色蒼然とした石燈籠











とても風流な「流れ蹲踞(つくばい)」(水の中に設置された蹲踞)。
周囲の飛び石や水に浮かぶ石の配置なども美しく、この一画だけで独自の世界観





滝から落ちる水を表すとされる「滝の鏡石」







七代目小川治兵衛の傑作とされる「雲井の滝」。この流れが葵殿の下まで続きます。
苑路には桂離宮笑意軒の三光(日、三日月、星)灯籠を模した石燈籠もあります。





苑路から見下ろす葵殿。





【撮影後記】
今回は特別に許可をいただき、葵殿の内部から庭園を見学させて頂きました。

案内のスタッフの方は庭園に造詣が深く、さすが都ホテル!と感動――。
宴会のご準備でお忙しい中にもかかわらず、七代目小川治兵衛をはじめとする京都の庭やその庭の素晴らしさ、
すぐ近くの母校の話題などについてもお話しができ、とても有意義な時間を過ごせました。
庭だけでなく、反対側の窓から見える京都市街の景観についても詳しく丁寧にご案内頂き、心から感謝申し上げます。

京都ではいまフォーシーズンズホテルなど外資系の超高級ホテルが相次いで進出していますが、
京都の人間にとって「都ホテル」は独特の品格を感じさせる特別なホテル。
結婚式や同窓会、家族との「ハレの日」には都ホテル!というのが定番でした。
今回はその思いに相応しいご対応を受け、都ホテルの新たな想い出が加わりました。
葵殿からの見学、撮影を快諾してくださり、誠にありがとうございました!


佳水園



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