大徳寺 地図 京都の名園 枯山水の庭 坪庭・露地
大徳寺の境内
臨済宗大徳寺派の総本山、龍宝山大徳寺。
開祖の禅僧、宗峰妙超(大燈国師)が1310年代にここ紫野に建立した「大徳庵」が起源とされています。
花園天皇、後醍醐天皇などその時代の有力者の帰依を受けていましたが、
このため後醍醐天皇と対立した室町幕府は大徳寺を敬遠。大徳寺側も世俗化しつつある五山制度からの脱却を図り、
結果的に大徳寺は公家や武士、商人などから広く崇敬を集めることになりました。
室町時代には一休宗純などの傑僧を輩出。さらに村田珠光や千利休など著名な茶人との関わりも深くなり、
いまに至る茶の湯との深い絆が生まれたのが、大徳寺の大きな特色です。
茶道との関係は、わびさびの極致とも言える洗練された大徳寺の文化を生み出すことに大きく寄与しました。
ちなみに大徳寺の塔頭は、小堀遠州がつくった茶室「忘筌席」で有名な孤篷庵を除き、
三門や仏殿の周囲に立地しています。朱塗りの三門(金毛閣)は、千利休の切腹の要因になった(諸説あり)ことでも有名です。
大徳寺派の名刹 酬恩庵(京都府京田辺市) 祥雲寺(東京都渋谷区) 南宗寺(大阪府堺市)
大仙院
限られた空間に創られた書院庭園の枯山水と、花頭窓から眺めるその光景はまさに立体的な水墨画。
石と砂と植栽が織り成す造形は、日本の庭園の最高傑作と思います。
中根金作が作庭した穏やかな中庭(中海)、沙羅双樹が彩りを添える方丈南庭も洗練された美しさ。
大仙院の書院庭園はすごく限られたスペースに作られているにもかかわらず、
構図、石の選び方、石の配置、どれをとっても見事すぎて、ずっと観ていても飽きず、ため息が出るほどです。
ちなみに大仙院の庭、長い間撮影禁止でしたが、2024年秋から撮影が可能になりました!

真珠庵
方丈東庭「七五三の庭」
一休宗純和尚を開祖として、 堺の豪商、尾和宗臨が建立した塔頭。
数年に1回ほど公開されますが、これまでは境内の写真撮影は厳禁。
2024年の公開で初めて、方丈周囲の庭園(と現代作家が手がけた襖絵)の撮影が解禁となりました。
茶道の祖とされる村田珠光が手がけた方丈東側の「七五三の庭」(国の名勝・史跡)も歴史的価値のある枯山水ですが、
何よりも書院「通僊院(つうせんいん)」の茶室「庭玉軒」の露地(国の名勝・史跡)は素晴らしい造形!
大徳寺ならではの「簡素な和の美しさ」が凝縮され、まさに真珠庵の名の通り、改めて「珠玉の庭」と痛感しました
(書院の庭撮影が認められただけでも嬉しいですが、通僊院の庭が今回も撮影禁止だったのは極めて残念)。
黄梅院
千利休が作庭したとされる苔庭の直中庭(じきちゅうてい)、
枯山水の破頭庭、はとうてい)と作仏庭(さぶつてい)、閑坐庭(かんざてい)、苔が見事な玄関・庫裏前庭と
日本庭園の全ての要素を備え、そのどれもが限りなく洗練されて美しい黄梅院。
境内には多くの茶室も配され、さすが茶道と庭園の頂点に相応しい大徳寺の塔頭とあらためて痛感しました。冬の黄梅院も見応えあり
龍源院
方丈を取り巻くように個性的な庭が配されています。
室町時代に作庭された、苔が美しい北庭(龍吟庭、りょうぎんてい、
斬新なデザインの南庭(一枝坦、いっしだん)のほか、
露地の趣を持つこ沱庭(こだてい)、坪庭の東滴壺(とうてきこ)――。
決して広くない塔頭ですが、庭の世界は無限に広がります(こ沱庭の「こ」=さんずい偏、虎かんむりに「乎」です)。
高桐院 紅葉の高桐院
楓に覆われた参道と苔庭の中に一基の石灯籠が建つ方丈南庭。
新緑の季節には幽玄な美しさ、紅葉の季節は華やかな中にもわびさびの雰囲気を残し、
日本庭園が持つ趣の深さを感じ取ることができます。
瑞峯院独座庭 閑眠庭
方丈の四方に枯山水、茶庭が作られています。南庭(独坐庭、どくざてい)は重森三玲の作庭で、
石と砂だけで荒々しい海を現しています。迫力!
北側には静かな雰囲気の枯山水、閑眠庭(かんみんてい)があります。
興臨院 紅葉の興臨院
方丈前庭は中根金作の作庭で、穏やかで優しい曲線が印象的。
この塔頭を訪れて初めて中根金作の個性と、紅葉の美しさを知りました。特別公開の庭園です。
総見院
織田信長の菩提寺で、本堂に安置された重要文化財の織田信長公木像などで有名。
さらに総見院は豊臣秀吉が茶会を開くなど、茶道と特にゆかりが深く、
北庭には「ほう庵(ほう=まだれに龍)」、寿安席、香雲軒の茶室があります。
大徳寺の紅葉
京都でどこのお寺が好きですか?と訊ねられたとき、まずいちばんに頭に浮かぶのが「大徳寺」。
何ていうのか、計算されたものかどうかはわからないのですが、
庭そのものの造作だけではなく、
土塀に映える寒椿の枝振りや井戸の配置などちょっとした「脇役」の存在が他のお寺とはちょっと違うというか。
主観ですが、侘び寂びの雰囲気にあふれながら、
いっさい「鄙」を感じさせないところが「す、すごい」と思ってしまいます。
庭そのものも、大仙院の山水画のような書院庭園、真珠庵の七五三の庭、
龍源院の個性的な4つの庭、高桐院の苔庭、
黄梅院の千利休作の庭や端正な枯山水、孤篷庵の忘筌席――どこも完璧なまでに美しい。
お寺の良さを再認識したのは仕事の合間にふと訪ねた鎌倉の円覚寺でしたが、
円覚寺でお寺の雰囲気の良さに改めて気づき、大徳寺で庭に対する関心が一挙に高まったという感じでしょうか。
酬恩庵(一休寺)
京都市内を離れた府下・京田辺市の酬恩庵。一休さんで有名なお寺ですが、枯山水の庭園は見事
祥雲寺(東京)
東京の都心近く、渋谷区広尾にある大徳寺派の名刹。数多くの茶室、洗練された露地などは関東で貴重
南宗寺(大阪府堺市)
大阪府堺市の南宗寺も大徳寺派の名刹として有名

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