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對龍山荘庭園 ―書院「對龍台」―
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全くの非公開だった對龍山荘。2024年に庭園が一般公開され、
2025年春にはついに重要文化財の主屋の見学もできるようになりました。
紅葉の對龍山荘


主屋が最終的に竣工した時期は、
七代目小川治兵衛(植治)が作庭を手がけた1905年(明治38年)頃とされています。
まず對龍山荘の最初の所有者だった伊集院兼常が1896年(明治29年)頃に居宅部分(聚遠亭じゅおんてい)と茶室を完成させ、
その後の所有者である呉服商の市田彌一郎が1905年頃に書院部分(對龍台)などを増築しました。


主屋の見学ではまず書院「對龍台」へ。これまで映像でしか観たことがなかった絶景が目の前に広がります。

對龍台から観る水車と大滝周辺の光景。庭に降りて眺める時よりも高さがあることから、
目の前に東山と新緑、庭の造形が目の前に迫ってくるような美しさ


ガラスは明治時代にベルギーから取り寄せた貴重な資材。
今も丁寧に手入れされているため、存在を感じさせないほどの透明感


円窓が特徴的な対龍台の二階。広々とした和室の側面が全て窓になっているため、開放感にあふれています。


円窓から観る庭園南側の景色。
が得意としていた「広々とした開放的な庭」の特徴がよく分かります。それにしても新緑が美しい。


再び一階に降りて、伊集院兼常の居宅部分だった「聚遠亭」へ。


縁側から観る庭園は額縁効果もあり、外で鑑賞するときと微妙に異なる美しさ。
縁側のそばに作られたひょうたん型の袖垣も印象に残りました。


聚遠亭から茶室(四畳)へ


茶室は光と影がつくり出す幻想的な雰囲気。躙口(にじりぐち)からは大池の水車も見えます。


茶室の外観と清流の中につくられた流れ蹲踞(つくばい)

こちらの茶室とは離れていますが、大池の畔に建てられた外腰掛待合「待月庵」。
池の向こうの東山から昇る名月を鑑賞する絶好の場所とされています。

伊集院兼常と親交が深かった明治の元勲、山縣有朋(雅号は含雪)が揮毫した扁額。
これまでも何回か触れていますが、山縣と七代目小川治兵衛(植治)の出会いがなければ、
南禅寺の別荘群も誕生していなかったのかもしれませんね。


床の間付書院の窓からは、橋杭石で作られた手水鉢の先端部分が見えます。
高さを加えることで、対龍台からちょうど使いやすい位置に
(実際は実用性よりも造形的な美しさが考慮されたためと思いますが)。

對龍山荘の主屋は、對龍台をはじめ、どこも見応え十分です。
自分はあまり興味がなかったので駆け足でしたが、著名な画家の作品なども至るところに展示してあり、
庭だけでなく、美術に関心がある人でも感動を受けることができるのではないでしょうか。
3000円という入場料は少し高いというイメージもありましたが、
これだけの庭と建物を楽しめる時間と空間を体験できるならそれ以上の価値があると痛感しました。


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