

下鴨神社の正式名称は賀茂御祖(かもみおや)神社。
平安の昔から皇室の尊崇も篤く、日本で最も高い格式を誇る神社のひとつです。
京都三大祭りのひとつである「葵祭」はここ下鴨神社と上賀茂神社の祭礼
。
単に「まつり」と言えば「葵祭」を指すと古典で習いました (葵祭は5月15日)。



朱色が目にも鮮やかな楼門。江戸時代前期(1628年頃)の建立で、重要文化財です。



楼門から東西に続く回廊


楼門の正面に建つ舞殿。雅楽などが奉納される舞台となります。

年の暮れの舞殿。今年と来年の干支の大きな絵馬が飾られます。


京都御所の建物と同じ入母屋造の建物が並ぶ下鴨神社。
舞殿の横に建つ神明殿は、御所の非常時に天皇の御座所になります。
1200年を超える皇室との深い関係を考えれば、御所との近似性は当然かもしれません。

境内に設けられた「解除所(げじょしょ)」。天皇が参拝時にお祓いを受けた場所だそうです。
皇室との縁が深い下鴨神社ならではの区画ですが、日本の庭の原型にもなっている気がします


本殿の入り口になる中門。こちらも江戸時代前期(1628年頃)の建立で、重要文化財です。


言社(ことしゃ、干支を祀っている)と東御料屋から観る清浄な禁足地「言社権地(ことのやしろごんち)」。
昇殿参拝時にはここ東御料屋で待機します。



御手洗川に架かる輪橋(そりはし)


御手洗川の上に建つ井上社(御手洗社)の前に広がる池では、
土用の丑の日の前後に足を浸けて厄をはらう禊ぎが行われます。



輪橋の横では、早春になると紅梅「光琳の梅」が満開に(尾形光琳の「紅白梅図屏風」のモデルになったそうです)。
橋殿から眺める梅と輪橋の風景は屏風のような美しさ



下鴨神社の周囲は、東京ドームの約3倍の面積を誇る原生林「糺ノ森(ただすのもり)」に囲まれています。
1200年前から都市であり続けた京都のほぼ真ん中にこのような原生林が残されていることはある面、奇跡に近い存在ですね。


糺ノ森では紅葉も。街中なので、12月初旬が見頃になるかと思います。
下鴨神社には離宮や禅刹のように「これぞ日本庭園」という場所はありませんが、
境内全体が自然の杜の息づかいと御所の雰囲気を漂わせた「広大な庭園」になっています。



個人的にも下鴨神社は日本で一番親しみが深い神社。
生まれた場所、そしてかつて住んでいた場所からもいちばん近かったことから、
お宮参りも七五三も自動車のお祓いも全てここ下鴨神社。
初詣だけではなく、京都に帰るたびに幼いときと同様に両親とお詣りに行ってました。
信仰心もあまりない自分ですが、下鴨神社だけは心から崇敬しているというか、愛着を感じています。
さりげなく世界遺産、文化財53棟などとさりげなく書かれているところも京都らしくて好きかも



鴨川とともに、下鴨神社は自分にとって京都の、人生の原風景だろうなぁ。
帰洛したときは、下鴨神社にお詣りして出町商店街をぶらぶらし、
大丸で買い物して、イノダでコーヒー飲んで、ハレの日には吉川に行く――。懐かしい京都のルーティン

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